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プログラム

第1日目 6月30日(土)

12:00 受付開始
13:00 講演およびシンポジウム 「地方発のアニメーション表現・産業は可能か?」

【講演】
野中 卓也(ユーフォーテーブル)
001 ©Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC
1967年、東京都生まれの横浜育ち。ufotabl所属で設立時からのメンバーのひとり。監督作品として「花右京メイド隊 La Verite 」「コヨーテラグタイムショー」「劇場版 空の境界 殺人考察(前)」「みのりスクランブル」がある。現在は ufotable徳島に席をおいて、若いスタッフへの育成に力をいれる一方、ufotable最新作で4年ぶりとなるテレビシリーズ「Fate/Zero」では演出として活躍をみせた。

<コメント>
UFOTABLE徳島は東京本社のサテライトスタジオとして2009年4月より活動開始。地元に根ざした活動をすべく、CAFEやCINEMAによる交流の場の提供。阿波踊りポスターの制作やマチアソビというイベント等、観光事業にも協力しています。また将来の人材育成も視野に入れ小学生から高校生までを対象にしたアニメーション制作のワークショップも開催しています。今講演ではサテライトスタジオとしての役割、苦労話、テレビアニメ「FATE/ZERO」における東京本社と徳島スタジオの連携について。徳島における人材育成、CAFEやCINEMAによるファンとの交流、マチアソビ等のイベントによる地域活性。そしてこれから…「アニメ文庫」等、新しい作品の発信の形についてお話できればと思います。


水由 章 (ミストラルジャパン代表)

0102©Mistral Japan
1961年札幌生まれ。1985〜89年イメージフォーラム・シネマテークのプログラムディレクター担当を経て、(株)ミストラルジャパンの代表として広告映像制作に従事しながら、スタン・ブラッケージや黒坂圭太作品等の実験的映像作品の配給、ソフト化、上映活動をおこなう。映像プロデューサーとしてアラン・エスカル監督『浮世物語』(2001)や、黒坂圭太監督『緑子/MIDORI-KO』(2010)などのアニメーション映画を製作し、アヌシー、ザグレブ、オタワ、広島等の国際アニメーション・フェスティバルで上映される。自らも1980年代半ばより実験映画を制作、作品数は40本余を数え、ロッテルダム国際映画祭、アナーバー映画祭などで上映される。代表作に『瞬息』(1997)『水光色』(2002)『IN FOG』(2010)など。1992〜2002年「映像実験誌Fs(エフズ)」を編集・発行。早稲田大学川口芸術学校非常勤講師、金沢美術工芸大学非常勤講師。

<コメント>
製作期間に10年以上を費やした黒坂圭太監督のアニメーション映画『緑子/MIDORI-KO』の企画・製作・公開までのプロデュース活動を紹介し、分業制の商業アニメーション映画の製作スタイルとは異なる、個人制作によるアート・アニメーションの魅力と可能性について語ります。


【シンポジウム】
●司会
いがらし なおみ
北海道深川市生まれ。まんが家、アニメ作家、イラストレーター。東京デザイナー学院デザイン専門課程 アニメーション科 作画コース 演出専攻卒業。手塚プロダクションで修行後、広告代理店でGデザイナー、CMディレクターなどで勤務しながら、4コママンガ「クルミくん」を連載開始。今年で連載で26年目を迎える。官公庁や病院、企業などのキャラクターデザイン担当も多数。その後はマンガ制作・アニメーション制作の為に「スタジオアニマジャパン」を設立する傍ら、専門学校でアニメーションとマンガの講師を務める。(社)日本漫画家協会会員、日本アニメーション協会会員。

<コメント>
 北海道にはいったい何があるのであろう。他県等と正確に比較した事はないが、どう見ても、人口密度の割には、マンガやアニメーション業界に進出している比率は全国的に多いように感じている。メディアの取材を受けても、「どうして、マンガ王国、アニメ大国なのですか?」という問いかけを必ず聞く。確かに半年間は雪に閉ざされて、やることがないのでマンガやアニメに引きこもって没頭して来たのかも知れない。全く未開の地を切り開いてきたチャレンジャーを祖先に持つ、超変わり者の末裔達なのかも知れない。雪の世界では音がかき消え、空想の世界に没頭出来たのかも知れない。東京に対抗する為には津軽海峡という海を一度は渡り故郷を捨てる覚悟を持たなければならないのかも知れない。どれが当たっているか外れているかは不明ながら、風土や人間性に自由な発想を熟成する独自のものを持っており、未開のモノに燃える(萌える?)体質は、ここ北海道にはあるのかも知れない。アニメーションに夢を持ち、そのクリエイターや文化が海を渡った歴史は今も相変わらず続くが、通信事情や、制作スタイルが大きく変化した現在では、そろそろそれぞれの故郷に環境を移し、独自のアニメーション文化を再構築しても良い時期に来ているのかも知れない。一点集中型の制作スタイルは効率は良いが、我々作り手が本来持っている個性を埋没させてしまう危険性を孕んでいるのではないだろうか。30年以上もほとんどその変化を見せないアニメーション業界に携わる方々の環境のピンチを、チャンスに変革する絶好のキーワードは、北海道に限らず未来において「地方」が持っているのかも知れない。そんな大胆なテーマを今回の北海道大会で是非先人達に探りを入れて尋ねてみようと思う。

●パネラー
野中 卓也(ユーフォーテーブル)
<コメント>
 インターネットにより都心と地方の距離が縮まる中「制作の現場がどこにあるか?」が問われるのではなく、大切なのは人材そのものなのではないでしょうか?そしてアニメーション業界には悪しき習慣(納期を守らない 自由出社等)がありますが、地方で独立してやっていくことにより、新しい風を入れリセット出来るのもメリットだと思います。また地元との連携やファンとの交流を通じて、作品の送り手と受け手双方で盛り上げ、サポーターを増やしていくことが今後は重要になってくるのでは…と思っています。

水由 章 (ミストラルジャパン代表)
<コメント>
 北海道などの地方でもアニメーションを産業として育成していくためには、分業制ではない個人によるアニメーション製作への協力を、大学や専門学校、企業とも連携しながら行うための受け皿的な機関を立ち上げ、作家の育成、作品制作の援助、作品のプロデュースを行う可能性を考えてみたい。

松倉 大樹(StudioBACU)
スタジオBACU
1973(昭和48)年北海道生まれ。旧職業訓練短期大学校 応用情報処理科卒業。その後、ゲーム専門学校を経てマイクロネットに入社。1999(平成11)年に地元旭川の株式会社Viewworksに中途採用される。そこでモーションキャプチャー編集などを担当。2001(平成13)年からCG撮影としてアニメーションしはじめ、その後数々のアニメーション作品にかかわる。2006(平成18)年にViewworksが倒産。以後、数名のスタッフとStudioBACUとして再出発。主な参加作品は「地球少女アルジュナ」、「サブマリン707R」、「魔法使いに大切な事」、「ノエイン」、「機神咆吼デモンベイン」など。

<コメント>
 完全北海道で商用アニメーション産業を構築する事は僕の経験上難しいと思います。ですが、地域の優位性(人材、生産力)を生かしつつ、主体を北海道に置きながらアニメーションの表現をする事は可能だと思います。徹底的に分業制になっている商用アニメーション産業だからこそ、色々な可能性を模索できるのがこの業界の魅力、チャンスだと思っております。経験がモノをいう世界です。それら経験をもった魅力的な人材がいて、初めて地方でのアニメーションを語る上で大きく必要になるのではないでしょうか?

河原 大(ピコグラフ)
ピコグラフ
1978年札幌生まれ。2003年北海道教育大学大学院美術教育専修(デザイン)修了。合資会社ピコグラフにてアニメーションの企画・脚本・作画・撮影・編集など、主に作品のディレクションを担当。札幌発のオリジナルアニメーション「テイルエンダーズ」がBD・DVDで角川書店より発売中。個人では専門学校で非常勤講師をする傍ら、ドット絵による作品制作を行っている。「東レデジタルクリエイションアワーズ2008(主催:東レ株式会社)」優秀賞受賞。日本映像学会会員。日本アニメーション学会会員。

<コメント>
 札幌には個人や少人数での小規模な制作スタイルでアニメーション制作に関わる人たちが比較的多くいます。まだ産業と呼べるほどには大きくありませんので、表現への新しい切り口や効率的なワークフロー、なにより制作者が地元に定着できるビジネスモデルを自らが模索しなければなりません。デジタルの恩恵により制作する場所に制限が少なくなってきた現在、地元を拠点として活動することの意義を考えてみたいと思います。


16:00 総会
19:00 懇親会(札幌市内)
※懇親会場へ移動用のバス(有料)を用意する予定です。


第2日目 7月1日(日)

9:30 受付開始
10:00 研究発表・作品発表(途中休憩あり)

・7/1(日)研究発表・作品発表プログラム(131KB)

 
A会場(N211)
B会場(N208)
10:05~10:30 木村智哉「東映動画発足に関する映画産業史的諸背景」 須川亜紀子「割れる教室/英語によるアニメ文化教育の課題と可能性」
10:35~11:00 有吉末充「わんぱく王子の大蛇退治」の音楽に関する考察 小谷佳津志「人間の視覚とアニメーション表現方法についての考察」
11:05~11:30 伊地知活彦「Adobe Illustrator 使用によるアニメーション制作実験の報告」 中村浩「履物が歩行動作に与える影響とその知覚」
11:35~12:00 新麗芳「今敏監督の作品における「現実」と「虚構」の表現」 土田昌司「坂を上る図形の速度や印象について」
休 憩
13:35~14:00 陣内利博「今敏のアニメーション教育」 布山タルト「アニメーション・ワークショップのためのふりかえり支援ツールの開発(2)」
14:05~14:30 藤原正仁「今敏のつながり合う創造的世界」 古城文康「長編アニメーション映画『イリュージョニスト』」
14:35~15:00 河原大「北海道アニメーションプロジェクト「+A」」 土居伸彰「諸外国の短編アニメーション製作をめぐる状況について」
15:05~15:30 小出正志「「アニメーションの分類」再考」 劉頴苹「中国水墨画アニメーションにおけるデジタル技法との融合の可能性」
15:35~16:00   鈴木清重「アニメーションと実写映像の境界を考察する動画像作品の供覧」

大会期間中の食事について
学生食堂は営業しております。また、大学周辺のコンビニエンスストアをご利用下さい。

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